社長の挨拶
たなべ物産株式会社は創業以来、地元の発展と共に歩む会社です。
昭和8年の創業から昭和40年代までは、織物の産地であった八王子市を中心に、繊維産業の中の産地糸商を生業とし、原材料の糸を供給しておりました。戦後の供給難から需要が高まり、
ガチャンと音がすれば、万と儲かるという意味で“ガチャ万”と言われた程の好況が続き、その後開発されたウール着尺のヒットも重なり、
繊維産業は八王子を中心とした地域の主力産業として隆盛を極めておりました。
その後、消費者の嗜好の変化から繊維産業は衰退に向かい、弊社は業態転換を図り、不動産事業とサッシを中心とする建築資材の販売にシフトを致しました。
糸商時代の顧客の転廃業に伴って、工場や事務所の土地建物の処分を依頼される事が多くなったことから不動産事業をスタートし、売却や宅地開発・住宅の販売等を手掛け、
急速に進んでいた八王子のベッドタウン化に関わってきました。また、ニュータウンの開発やそれに伴う学校などの施設の建設が進む中、サッシを中心とする建築資材の扱いを開始し、八王子市立の小中学校118校の殆どの工事に関わらせて頂いております。サッシやドアといった建具は、新築後も長くその機能を維持し続けなければなりません。現在では三多摩地域の建具関連商品の改修やメンテナンスにも注力させて頂いております。
他方、創業者の田辺留次郎は地元市議会や、撚糸工業組合・地元商工会議所(第15代会頭)を中心とした活動を通じ、本業以外の立場からの地元振興に努力を致しました。2代目の田辺隆一郎(現会長)も、現八王子商工会議所会頭として同じく努力をさせて頂いております。
私どもの会社に流れるのは、地元地域が発展しなければ会社の発展も無い、という考え方です。本業だけに注力するのではなく、常に地域の現状や未来を考えながら、時には儲けを生まない活動にも一生懸命取り組む、という姿勢を大事にしております。
今後の建築関連業界を考えれば、新築が数多く建つという時代から、古い建物を壊さずに活用していく、リフォーム・リノベーションの時代に移っていく事は明白です。
弊社でもサッシ関連商品の専門工事業者として、実際にそれらの現場に関わりながら、技術面での経験やノウハウを積み重ねる努力に加え、事業としてどうリフォーム・リノベーションに取り組んでいくかの研究をしてきました。
UR都市機構による、ルネッサンス計画2「住棟ルネッサンス事業」において、日野市多摩平に、団地再生リノベーション“AURA243 多摩平の森”をオープンし、建物の再生のみならず、コミュニティの再生を実現致しました。
人口減少時代を迎え、深刻な環境問題を抱えている現在、これまでのように古いものを壊し、新しい物を建てて行くという考え方から、いまある建物を再活用しそこに新しいコミュニティを形成していく方向に変化をしていく必要があります。建物解体によって生まれる産業廃棄物の山、新しい建物を建てるために必要になる資材とそれを生産する為のエネルギーを浪費する事から、既存建物を活かして必要最小限の改修工事をする事によって建物と周辺環境を変化させ、そこに住む事に喜びや心地よさを感じ、人々の間で会話や関係性が豊かになったりするコミュニティを作る。
私共が大切にする、地元地域の発展への貢献を追求して参ります。
代表取締役社長 田辺 裕康